画像の連続した領域をラベリング(連結成分抽出とも言います。英語だと Connected Component Analysis, Connected Component Labeling と呼ばれることが多いようです)するルーチンです。C++のクラス化してあります。
サイズの大きい順に領域番号を付けていくことができます。またサイズが閾値よりも小さい領域を除去できます。多値にも対応しています。
ダウンロード
- Labeling.h (これだけで使えます)
- サンプル一式(zip)
性能
SD画像(640×480,領域数68,下図左): 2.41msec
HD画像(1920×1080,領域数5084,下図右): 34.7msec
CPU: Intel Core i7-920 (ただしシングルスレッド), Memory: 3GB, Microsoft Visual Studio 2008
動作環境
C++。STL(Standard Template Library)が使えること。Visual Studio 2008 (windows) で動作確認済みである。
ラベリングクラスの使用法
ダウンロード
Labeling.h をダウンロードし、使用したいプログラムソースがあるディレクトリに保存して下さい。
インクルード
ソースコードに
#include "Labeling.h"
を記入して下さい。
入力・出力
入力として処理対象画像を与えます。画像はグレイスケール(各画素1バイト)です。
下図の順序でデータが並んでいることを前提にしています(極めて一般的な配置です)。
入力画像の画素値については、0は背景(ラベリング対象外)、1以上が対象画素です。
普通は二値化した画像を入力すると思いますが、仕様としては、0以外の異なる値はそれぞれ異なる領域として扱っています。
出力画像の各画素値には連結領域番号が入ります。0は背景を示します。連結領域番号は 1, 2, … と順に振られます。
実行
連結領域抽出の処理本体である Labeling クラスと、各連結領域に関する情報を格納する RegionInfo クラスは、C++のテンプレート機能を用いて様々な型に対応できるように作られています。
入力画像の各ピクセル値は unsigned char 型が一般的だと思います。出力の連続領域番号は short 型に格納することを推奨します。
この場合に対応するクラスとして LabelingBS クラス / RegionInfoBS クラスが typedef により定義されています。詳しくは Labeling.h の末尾を見て下さい。以下の説明では LabeingBS クラス / RegionInfoBS クラスを使用します。
まず、LabelingBS クラスのインスタンスを作成します(何のこっちゃ、という人へ。要は変数宣言です)。
LabelingBS labeling;
入出力画像のバッファは適宜用意して下さい。例えば、
int w = 640; int h = 480; unsigned char *src = new unsigned char[ w * h ]; short *result = new short[ w * h ];
などとしてメモリを確保した上で、src に二値化した画像を格納します。
ラベリング処理を実行する際には6個の引数を指定します。
labeling.Exec( src, result, w, h, true, 30 );
引数は順に以下の通りです。
- 入力画像の先頭アドレス(unsigned char *)
- 出力画像の先頭アドレス(short *)
- 画像の幅(int)
- 画像の高さ(int)
- 領域の大きさ順にソートするか(bool) – true:する false:しない
- 消去する小領域の最大サイズ(int) – これ以下のサイズの領域を消去する
処理結果は result (が指す画像バッファ)に格納されます。
各連結領域の情報は labeling 内に保持されており、メソッドを通じて取り出すことができます。この情報は、別の画像に対して labeling.Exec() を実行すると上書きされます(LabelingBS クラスのインスタンスを別途作成すればこの限りではありません)。
結果の取り出し
前述の通り、処理結果自体は result に格納されます。各連結領域に関する情報は以下のメソッドにより取り出せます。(メソッドとは何だという人へ。クラス専用関数です)。
連結領域数(消去された小領域の数を含まない)の取り出し
int n = labeling.GetNumOfResultRegions();
各連結領域に関する情報の取り出し
連結領域に関する種々の情報は RegionInfoBS クラスに格納されます。
注意!!!! 結果画像に格納されている領域番号は1から始まりますが、GetRegionInfo への引数は 0 から始まります。変な仕様ですみません。
まず対象とする領域の情報が格納された RegionInfoBS へのポインタを得ます。
RegionInfoBS *ri; ri = labeling.GetResultRegionInfo( 0 );
RegionInfoBS には以下のメソッドが用意されています。
- 画素数を返す
int GetNumOfPixels( void )
- 領域中央の座標(!=重心) を返す
void GetCenter( float& x, float& y )
- 領域のサイズを返す
void GetSize( int& x, int& y )
- 領域の左上座標を返す
void GetMin( int& x, int& y )
- 領域の右下座標を返す
void GetMax( int& x, int& y )
- 領域の重心を返す
void GetCenterOfGravity( float& x, float& y )
- 領域の入力バッファにおける値を返す
SrcT GetSourceValue( void )
- 領域の連続領域番号を返す
DstT GetResult( void )
引数の int& や float& は変数の参照渡しという C++ の機能です。
詳しい内容は C++ の入門書にゆずります。
あるいはこちら。
SrcTはここでは unsigned char、DstTは short です。
例として、領域のサイズを得る方法を以下に示します。
int size_x, size_y; ri->GetSize( size_x, size_y ); cout << "size: " << size_x << "," << size_y << endl;
注意
Visual Studio で使用する際には、Debug と Release で速度に非常に大きな
差がありますので注意して下さい。基本的には Release 環境で使用して下さい。
より詳しい解説
ライセンスについて
何件かお問い合わせをいただきましたので、ライセンスについて表記しておきます。
Labeling.h は修正BSDライセンスのもとで配布いたします。
- 商用であってもお使いいただいて結構です。
- 使用していただくにあたって費用は発生しません。
- 不具合については補償できませんのでご了承下さい。
- 著作権表記については “Copyright (c) 2010, IMURA Masataka” と記載してください。
商用でご使用いただく際には、可能でしたらご一報いただけると嬉しく思います。
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