1 この文書は

何らかの研究を始めるにあたっては,これまでにどのような研究が
なされているか(先行研究)について,調査する必要があります.

先行研究の調査は,あまりやりすぎると,自分の発想がそれらに
捕われてしまうという危険性がありますが,全くやらないわけには
いきません.

先行研究の調査方法について,いくつか紹介します.

2 論文を探す

論文専用の検索サイトを利用します.

2.1 そもそも論文とは

論文(paper)とは,主に大学や研究機関においてなされた学術研究成果を,
広く公開するために書かれた文章です.
様々な学会が,専門の分野の論文誌を発刊しています.
投稿されてきた論文に対して,関連分野の研究者が査読を行い,
その結果優れた内容であると判断されると掲載されます.
したがって,一般的には,ある程度の質が確保されています.

論文と混同されやすいのが,学会大会の予稿(proceedings)です.
こちらは,口頭発表やポスター発表に附随した研究の説明です.
程度の高い学会大会であれば,論文誌よりもクオリティが高い場合も
ありますが,全く査読されていない場合もあるため,質には
ばらつきがあります.

2.2 日本の論文を探す

2.2.1 CiNii

CiNii(サイニィ) http://ci.nii.ac.jp/

キーワードを入力すると論文一覧が出ます.
本文が無料で見られるものには,PDFのリンクがあります.

関西学院大学は機関定額制に参加しているので,一部の有料コンテンツを
無料で見ることができます.ただし学内のネットワークからしか見ることが
できません.

学外から見るためには,事前に登録が必要です.
最初に,登録を行っておきましょう.

2.2.2 J-STAGE

J-STAGE https://www.jstage.jst.go.jp

論文誌はかつては冊子でしたが,現在電子化が進んでいます.
電子化は各学会が独自に行っている場合もありますが,
最近はJ-STAGEを利用することが一般的になっています.

2.3 世界の論文を探す

以下のようなサイトを使ってみるとよいでしょう.

2.4 探し方のコツ

2.4.1 キーワードの選び方

悩ましいところです.いつもうまくいく方法論は無い.
あまり広すぎると大量のリストが出ますし,狭すぎると見逃す可能性があります.

2.4.2 どんな論文がよいのか

  • 沢山の論文から引用されている論文は,その分野の重要な論文です.
  • 参考文献の量は,著者がその分野をきちんと把握していることを示しています.
  • よい論文誌の論文は,よい論文の可能性が高いです.
  • 分野全体の情報を知りたい場合は,サーベイ論文を探すとよいです.

2.4.3 芋蔓式に探す

論文には一般的に参考文献があります.
参考文献の中によい論文がないか探します.
本文でその参考文献がどのように取り上げられているかも参考になります.

最近のオンラインジャーナルには,その論文を引用している論文の
リストがあります.最新の文献を探す助けになります.

タイトルをgoogleで検索してみるのも意外とよいです.
著者のページや,関連している論文が見つかります.

2.4.4 「これでもうよいだろうか」

論文を探していると,どんどんと関連論文が増えていき,
大概収拾がつかなくなります.
「これで探し尽くした」と思える状態には,なかなかなりません.

ある程度,その分野を調べたという状態にする一つの方法は,
その分野の論文誌の何年分かに全て目を通すことです.
時間はかかりますが確実です.

3 論文以外の情報を探す

論文以外には,以下のような情報源があります.

  • 研究者/研究室のウェブサイト
  • YouTube や vimeo などの動画共有サイト
  • 学会誌 (学会は論文誌の他に学会誌も発行しています.特集が有用な場合があります)
  • 学術会議のプログラム